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NAS Auto Field 愛知県岡崎市小針町3丁目3-14 電話番号0564-32-2838
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フェラーリ 512TR 数年間眠っていた不動車を復活させるの巻

512TRのタイミングベルト交換だけのはずが!!

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この512の時、初めて当社に来て頂いた業者さんですが、私の昔から知っている業者さんからの間接的な紹介で依頼をされました。最初の話ではタイミングベルトの交換をしてもらえないか? 幾ら位かかるか? などのお話だったので、こちらも普通に動いている調子の良い車両だと当然思っているので、ベルトを交換するとこれくらい、ウォーターポンプやエンジンを降ろしたついでに交換した方が良い部品はこれくらい、作業日数はこれくらいなどとお答えしていたのですが、紹介してくれた人もあまり把握をしていなく、その初めていらっしゃる業者さんもメカ的な事はお分かりになっていない様で、当社に入庫してもらってはじめて現状を把握しましたが、余りにも事前に聞いていた話と違う状況でした。

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積載車に乗って来たのですがぱっと見、程度は良いですがその積載車に乗っている状態ですら、
”これは相当寝ていたな!”感がハンパありません!! その業者さんも知り合いの業者から買ったばかりだったようです。

掘り下げて話を聞くと、断片的には以下の通りです。
1)何年か眠っていた。
2)怖いのでエンジンをかけていないが少し前はかかっていたとの事。
3)車の程度は良かったと聞いている。

この様な仕事をしていると本当によくあるのですが、だった話が本当だった事があまりありません。 当然最初に言っていた日数や金額などで出来る訳もありませんし、何年寝ていたか分からないし、もともと調子も良かったのかもわからないし、とにかく”分からないし”ばかりです。 依頼主の業者さんにも一通り説明して、とりあえずエンジンを降ろす前にある程度確認してエンジンやミッションもまともかどうかを確認してから作業をする事にしました。 車が車ですし、確認する前にタイミングベルト回りの部品や、パッキンだの部品を多数注文して、もし重大な問題があり頓挫するとフェラーリ部品の不良在庫になるとかなりの損失ですので依頼主さんの身の為です!!
とか人事ながら心配しているのもどこ吹く風状態の楽観的なその業者さんは、
”エンジン降ろしたら連絡下さい! 車を全塗装に出します。”  ですと。 アー、そうですか...................!

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まずオイルやクーラント等がちゃんと入っているかなどを点検して(時々抜かれたままの状態でほかっている状態の車もありますので恐怖です。)
燃料も完全に腐っているでしょうし、燃料ポンプもリレー側で直結しても動きません。テスタロッサだったら良かったですが、TRはほとんどレイアウトや部品など共通していますがKジェトロと電子制御インジェクターの違いからテスタは外ポンプ、TRはインタンクです。 ましてや燃料タンクを外さなければ燃料ポンプが取れませんので面倒な脱着しかも×左右2個。 なんとか外し、燃料タンクの内部を確認するとやはり相当寝ていたようで燃料ポンプ不良やガソリンが腐っているだけではなく、ゴム類がぼろぼろになり原型が無い状態です。 燃料ポンプASSYも純正でかなり高いので、ポンプ単体を取り寄せ、うつわやダンパーゴム、塩ビのホースなども使い物どころか腐って消えさってしまっているものもあるので、全てその辺の部品を使ってリビルトです。 こちらは新品でパンと交換してもらった方が手間無く、後でなんか外れたらどうしよう!などと心配事も消えるので助かるのですが、今の状態だとエンジンがまともかどうかの判断をするテスト中なので最初からぶっ飛ばして金もかけられないのです。 でもやはり心配性なのでしっかりと直します。

取りあえず何とか全てを仮組みをして燃料タンクも洗浄し、ガソリンを入れ、オイルもテスト用ですので古いオイルよりは全然ましな安物オイルを入れてエンジン始動!のはずが ”あれ、スターターが回らない!!!”
「そこからかい!!」と自分に突っ込みをいれましたが、よくこの様な車を触っていますので配線図も見ずに分かるので、すぐに原因が分かり今度こそスタート.............「あれ!」 エンジンがかからない。
とにかく色々な配線が接触不良を起こしたり、酸化したりしています。 一通りみて今度こそ
”キュキュキュキュ..キュルキュル..ブウォーン” かかりました。 オイル漏れやハンチングはしますがかかりました。 エンジン多少音は出ていますが特別な異常もありません。

ここからがやっと本番作業に入ります。 
エンジンを降ろしたら、全塗装をしたいと言われていたのでパッパと降ろします。 こちらも工場内がパンパンでドンガラTRを持って行って頂けるのは助かります。

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全塗装するとかエンジンをピカピカにしたいとか結晶塗装をしたいとか、こちらとしては先に中身の問題だとは思いますがそのようなご依頼もありましたし、インマニやインマニの下に冷却用の水が回るフランジやゴムホースなども交換したかったのでとりあえずバラバラにします

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ウォーターポンプは以前何時どこで交換したかは分かりませんが取り外し方がひどく真円になっている淵の部分がガタガタでかなり削れていましたので余程大丈夫かとは思いましたがものすごく硬くなる特殊なアルミパテで成形し水漏れやオイル漏れを防ぎました。 時々この様な感じの修理や交換痕を見ますが慣れている、慣れていないも当然あるとは思いますがそれより丁寧か、乱暴かのその人の人間性がかなり関係してくると思われます。 フェラーリなどの特殊車両は壊されたり、壊したりするとかなり部品代が高いので修理をされる方、修理を頼む方もお気をつけ下さい。(店に依頼する人はどうやって気を付けるのだと言われそうですがそれは人生経験です。 何のこっちゃ!!と思われるでしょうがどんなに立派な門構えの店でも、小さな店でも道具、工具などの感じ、止まっている車の感じ、店の感じ、人間の感じをトータルで判断するのが大事です。長くなりますのでいつか詳しく書く事があるかもしれません)

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タイミングベルトだけでは無く、フロントカバーやクランクシールもオイル漏れやそこまでやるならこのシールも交換したほうが良いでしょうなどで洗浄、交換していきます。

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バルブカバーやインマニ、サージタンクを全部取り外し、他のスタッフに渡して洗浄、結晶塗装の下準備でサンドブラスト、表面処理をしてもらいます。

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今回、何が大変と言えばエンジンや下回りが非常に汚い。 元々オイル漏れなどで汚かったのでしょうが、そこに長い間の埃やゴミなどが付着して固まったり、酸化していたりでエアブローやてきとうな洗浄では綺麗になりません。 完全に綺麗にするにはエンジンフルオーバーホールで部品をバラバラにして、サンドブラストや剥離、螺子などを新品に交換すれば新品の様になりますが、手間やお金を考えると現実的ではありません。 

エンジンの中身は意外に綺麗で内部洗浄してオイルを交換すればO.Kでしょう。 ブレーキフル―ド、ミッションオイルなど全ての油脂類は交換します。
タイミングベルトやウォーターポンプ、バルブカバー等も全て交換してエンジンもだいぶ形になりましたのであと一息です
だんだんと気分も良くなり、ペースも上がります。

エンジンも来た時とは随分変わり綺麗になりました。 いよいよ全塗装から帰って来たTRに載せる訳ですが当然ボディは一つも傷が無いので随分と気を使いながらエンジンを載せました。 エンジン周りのボディだけではなく、ドアの開け閉めまでどこかに当たらない様に注意します。

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いつもながら完璧な仕事とは自分に言い聞かせてはおりますが、今回は色々と作業が追加、追加で全塗装から帰ってくる時間など降ろしてからずいぶんと時間がたってからのエンジンをボディにに載せ、補機類を載せてからの最初のエンジン始動でしたので少し緊張しました。 
何のグズリも無く、普通にかかってアイドルも正常、油圧や水温も安定し、レーシングでも綺麗に回転は上がり、異音も少しも無くオイル漏れも全くしていないのでホッとしました。 エンジン回りが放置とオイル漏れでものすごく汚かったのが見た目でも苦労はしましたがピカピカになりました。
 

 

                           

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